AYABOW - YOUR NUMBER ONE CD ALBUM(紙ジャケット使用) 【　商品概要　ライター：コリコリ（Love Song Lab / 郷場）　】 宇都宮オリオン通り入口手前のアパレルショップで、DJ SUU…『ALL CITY』を手にとったことを今でも憶えている。学生の頃、彼のミックステープをヘビープレイしていたから迷いなく買った。ストリクトリー・ヒップホップ。そのラストに収められていたのは、AYABOWというアーティストの”NEVER HATE”という曲だった。ストリートのナレッジで啓蒙するリリック、フロウするストロングな歌唱、何より、人間の真っ当なソウルに胸を打たれた。「日本のメアリー・J・ブライジだ」とその感動をスタッフに伝えたら、「イベントに遊びに来て」とAYABOW本人から伝言があった。週末、水戸駅南の逆川沿いのクラブに行った。〈AREA CODE 601〉というパーティーだった。 AYABOWの音楽がもつ求心力。”NEVER HATE”、そして2009年のファースト・アルバム『JUST DON’T SAY…』に多くの人が心を掴まれた。あれから16年。〈601〉では継続的に新曲が披露されてきたこともあり長年作品集のリリースを熱望されていたが、年を経ても涸れることのない彼女のパッションが、ついにセカンド・アルバム『YOUR NUMBER ONE』として結実した。 トータル・プロデュースは前作と同じく盟友DJ SUU…。サニーなサンプリング・ビートの気持ちよさにやられちまうのは言うまでもなく、曲間をシームレスにつなぐインタールードも完璧と言っていい出来で、ピート・ロック & C.L.スムース『The Main Ingredient』を想起するほど全体の調和がとれた質感に仕上がっている。 本作のアクセントになっているのは、立脚地を宣誓する②”UNDERGROUND”や、いつメンとゆっくり火をつける④”I WANT IT BACK feat CHOICE, BUCCHA”、コモンへの私信ともいえる⑦”FALL IN LOVE AGAIN”など、AYABOWのルーツであるヒップホップへの回顧だ。純山岳ヒップホップ・ソウル⑤”AIN'T NO MTs HIGH NUFF feat I-SET-I”については、水戸スタイルを継承するI-SET-Iの頑強なラップも相まって、そのメンタリティーのメタファーに聞こえてくる。 南米のホットな風が吹く③”YOUR NUMBER ONE”は、長年アンセムとしてフロアに愛されてきた曲。ダンサブルなビートに誰もが口ずさめるメロディーをのせるAYABOWが過去最高にラブリー！ コフィー・ブラウンばりにきつく抱きあうスムース・ダンサー⑧”GET TOGETHER feat CHOICE”も傑作。隙のないサンプリングとシンクロするリズミックな歌が桁外れに心地よい。 そして、本作の精神的な核となるのは、間違いなく⑪”SEARCHIN'”だろう。円環的な人生観をウォームフルに歌う、すべての人の心に灯をともすような名曲だ。 「あなたの一番は何だろう」。一人ひとりにそう問いかけるAYABOWの音楽は、やはり人間の真っ当なソウルだと思う。